日本畜産学会報
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トリヨードサイロニン投与が幼雛の熱発生に及ぼす影響
村松 達夫皇甫 宗奥村 純市田先 威和夫
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1986 年 57 巻 11 号 p. 946-956

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抄録

幼雛におけるトリヨードサイロニン(T3)の熱発生効果を,特にT3で誘導される熱発生の大きさ,外因性T3と熱発生量との用量反応関係およびT3誘導熱発生量におよぼす加齢の影響について調査した.全体で4回の実験を行ない,屠体分析法を用いた実験1を除き呼吸試験によってT3投与による熱発生量を測定した.実験1では有意でないもののT3の注射により2週齢の雛で熱発生量が7%増加した.さらに実験2においては,3週齢の雛で熱発生量は20%の明らかな上昇を示した.実験3は外因性T3と熱発生量との用量反応関係を調べるために行なった.その結果,T3投与によって熱発生は有意に上昇し,1日当り200μg/kg体重で最大値に到達した.しかし1日当り100から300μg/kg体重の範囲ではいずれの間にも有意な差はみられなかった.実験4ではT3の熱発生作用に対する加齢の影響を調査した.1週齢の雛ではT3による熱発生の促進はみられなかったが,その後5週齢までは加齢につれてT3誘導熱発生が明らかに増加した.

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