自己免疫機序により小脳障害をきたす自己免疫性小脳性運動失調症は,グルテン失調症,抗グルタミン酸脱炭酸酵素(glutamic acid decarboxylase: GAD)抗体関連小脳失調症,傍腫瘍性小脳変性症,感染後小脳炎などのいくつかの病型がある.それぞれの疾患で免疫学的な病態は異なるが,多くの疾患で分子相同性機序により小脳を標的とすると考えられており,血液脳関門(blood-brain barrier,以下BBBと略記)破綻は分子相同性機序で誘発された病原性のある自己抗体の流入や抗原に感作された病的リンパ球の侵入を惹起するため,自己免疫性小脳性運動失調症の病態の重要なプロセスとなりうる.小脳性運動失調症のあるランバート・イートン筋無力症では小細胞癌との分子相同性機序により誘導されたGRP78抗体がBBB破綻を誘発し小脳性運動失調症を引き起こす.
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