本研究は,連合形成による情動転移が商品選択に及ぼす影響,情動転移による商品選択が商品情報に誤帰属されるかについて,選好判断時の商品情報利用に商品考慮度が及ぼす影響,の3点を検討した。実験には94名の大学生が参加した。実験参加者は,情動(快,不快)喚起画像と対呈示された広告に反復接触した。続いて,新旧項目について商品購買意図の判断を行い,さらに判断の際の商品名および商品属性(ポジティブ情報,ネガティブ情報)の参照度評定を4件法で行った。実験の結果,以下の3点が明らかとなった。第一に,広告と情動画像を対呈示することで画像から商品に情動の転移が生じ,商品選択に影響した。第二に,対呈示情動画像によって般化された商品評価は,商品属性(中心情報)や商品名(周辺情報)に誤帰属された。第三に,誤帰属情報は,高考慮商品では中心情報,低考慮商品では周辺情報がそれぞれ優位に働いた。