多面的な物事の見方ができたり,探求心や認知欲求に基づいた思考や態度ができたりするかどうかを評価するため,様々な心理尺度か構成されている.なかでも批判的思考態度に関わる評価は,人や社会に対して画一的になりがちな思考や態度に反省を与えるという視点から重要であると考えられる.しかしながら,多くの心理尺度と同様に,主に文章や質問項目への応答によって評価されることが多いことから,各項目の測度としての評価は,被検者に対して直接的あるいは明示的になりやすい傾向がある.本研究では,心理的な測定の内容が被検者にとってより間接的あるいは潜在的となるように,多義図形に対する読み取りの成績や応答を測度として用いた.分析では,多義図形の読み取りについての評価得点と従来の文章を用いた質問項目による評価との相関について検討し,批判的思考態度に関わる探求心や認知欲求と多義図形の読み取りにおける応答との関係について調べた.