カウンセリング研究
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自閉症スペクトラム傾向を示す大学生の抑うつにソーシャル・サポートと被害念慮が及ぼす影響
金井 嘉宏
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2010 年 43 巻 2 号 p. 114-119

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抄録

本研究の目的は,自閉症スペクトラム傾向の高い大学生が低い者に比べてソーシャル・サポートを受ける可能性(知覚サポート)を低く認知しているかどうかを調べること,および自閉症スペクトラム傾向,知覚サポート,被害念慮と抑うつの関係を調べることであった。302名の大学生を対象に調査を行い,Autism-spectrum Quotientを用いて自閉症スペクトラム傾向を測定した。分散分析の結果,自閉症スペクトラム傾向の高い群は低い群に比べて知覚サポートが低かった。また,自閉症スペクトラム傾向の低い群では,知覚サポートが高いと抑うつが弱かったのに対し,自閉症スペクトラム傾向の高い群では抑うつに対する知覚サポートの効果がみられなかった。一方,自閉症スペクトラム傾向が高い群において,知覚サポートが高い場合には,被害念慮の程度によって抑うつ得点に違いがみられ,被害念慮が低ければ抑うつが弱かった。これらの結果は,自閉症スペクトラム傾向の高い大学生に対して,知覚サポートを高めることによって抑うつの減弱をねらうためには,被害念慮をアセスメントと介入の対象にすべきであることを示している。

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© 2010 日本カウンセリング学会
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