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特集 “がんの分子標的治療” 編集 : 山口俊晴
大腸がんに対する分子標的療法
水沼 信之
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2006 年 21 巻 1 号 p. 52-57

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抄録

近年, がん化学療法は大きな進歩を遂げている. 既存の細胞毒性を持つ抗悪性腫瘍薬とまったく概念の違う分子標的治療薬が続々と認可され, 治療成績が向上している. 分子生物学の急速な進歩で, がん細胞の無制限な増殖・浸潤・転移といった生物学的特徴と関連を持つ遺伝子, 蛋白について解明が進んできた. 分子標的治療薬はこれらを標的として設計されている. 製剤的には分子量や分子構造の明確な小分子物質 (small molecule) と, モノクローナル抗体などの高分子 (macromolecule) に分類される.
Bevacizumabは, 最初に認可された血管新生阻害剤でFL療法, IFL療法, FOLFOX療法と組み合わされ最大奏効率61%と抗腫瘍効果の増強と生存期間の延長を認めた. またcetuximabもCPT, FOLFOXなどとの併用で抗腫瘍効果の改善を認めている. これら分子標的薬剤は, 新時代のがん治療の主役となると考えられる.

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© 2006 日本DDS学会
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