1997 年 107 巻 4 号 p. 519-
悪性黒色腫患者18例を対象とし,予後因子の重要性を重回帰分析にて解析した.予後因子の候補としては,性,年齢,発生部位,治療歴,病型,所属リンパ筋転移の有無,浸潤level,thickness,DAPI(4',6-diamidino-2-phenyl indole)蛍光顕微測光法により測定した細胞核DNA量の9因子を選んだ(細胞核DNA量を代表する変数としては,DNAindex(DI)を用いた).重回帰式に組み込む変数は,Fin=Fout=2のレベルで有意のものをステップワイズ法にて選択した.採択された因子は,DI,所属リンパ節転移,levelであり,患者の生存期間の対数(Y)を予測する重回帰式は,Y=-0.6515×(DI)+8.7291となった.決定係数は0.7010,重相関係数は0.8372,自由度調整済み決定係数は0.6370,自由度調整済み重相関係数は0.7981であった.残差の分析は,モデルが信頼できるものであることを示していた.標準化偏回帰係数の値から判断すると,予後因子として重要な変数は,DI,所属リンパ節転移,levelの順となった.