日本薬理学雑誌
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ミニ総説号「ノックアウトマウスの創薬への応用」
血管新生阻害と腫瘍抑制
渋谷 正史
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2002 年 120 巻 5 号 p. 285-294

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抄録

近年,血管新生因子やその受容体の生化学的,分子生物学的解析が著しく進み,それらの遺伝子に対するノックアウトマウスも多数作成された.これらのマウスは個体レベルの血管新生に関する制御機構を理解する上で有用であるばかりでなく,血管新生阻害薬の開発にも極めて重要な示唆を与えている.さらに,特定の遺伝子を破壊してもマウスが致死性でない場合には,そのようなマウスを用いて腫瘍血管新生の低下の有無を直接観察することができる.これらの研究から,VEGF-A,-C,-D,VEGFR-2,VEGFR-1,-3などが重要な標的として浮かびあがってきた.さらに,アンジオポエチン,MMPとその制御因子なども標的の候補として研究が進んでいる.今後はさらに有用な標的遺伝子が見い出される可能性も高く,研究の進展が期待される.

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© 2002 公益社団法人 日本薬理学会
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