日本薬理学雑誌
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創薬シリーズ(3)その3 化合物を医薬品にするために必要な安全性試験
視覚毒性
佐藤 秀蔵
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2008 年 131 巻 1 号 p. 50-54

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抄録

視覚は社会的生活を営む上で極めて重要な機能であり,一般にヒトは情報の約80%を視覚から得ているといわれる.その障害は致死的ではないがQOLを著しく損なう.医薬品製造指針には医薬品の製造承認申請に際して実施すべき最小限の非臨床安全性評価項目およびその方法が定められており,これら一連の試験において視覚器に対する影響がみられることがある.あるいは類薬の情報,薬理作用,化学構造等から視覚器に対する影響が類推される場合がある.この様な場合にはその発現メカニズム,回復性,ヒトへの外挿性などを検討し,ヒトに適用した場合のリスクを評価する必要がある.本項では,視覚器の構造と機能について概説したあと,非臨床試験において広く用いられている眼科学的検査法(視診,検眼鏡・細隙灯顕微鏡検査,瞳孔反射,眼圧検査,眼底検査,電気生理学的検査,行動学的検査,病理組織学的検査)の概要およびその特徴,ならびに視覚毒性を誘発する主な既知薬物について述べた.

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© 2008 公益社団法人 日本薬理学会
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