主催: 日本地球化学会年会要旨集
北海道苫前地域の蝦夷層群堆積岩は低熟成で有機物の保存状態が良いが,このような低熟成な堆積岩と南東フランスVocontian堆積盆CTB層準の堆積岩から,藻類や陸上植物に由来する易分解性のトコフェロール(ビタミンE)を検出したので報告する。比較的低熟成なThomel層準の黒色頁岩試料,朱鞠内沢・大曲沢川の苫前地域試料の極性画分において,トコフェロール類が検出され,高熟成な大夕張地域白金沢試料からは全く検出されなかった。Thomel層準と大曲沢川ほとんどの試料でδ体が50%以上占め,朱鞠内沢試料ではα体が6~39%と比較的多く検出された。より低熟成な朱鞠内沢試料中においては,α体の分解が進んでおらず,組成の違いが生じた可能性がある。一方,各層準内での組成の変動については,堆積時のトコフェロール組成の違いを反映していると考えられる。