付加体層序を検討するため屋久島に分布する四万十累層群にふくまれる凝灰岩からジルコンを分離し、U-Pb年代測定を試みた。この結果、島の東部でおよそ30 Maの、西部でおよそ55 Maの堆積年代を得た。およそ42 Maには層厚が100 mにも達する厚い凝灰岩層をもたらすような巨大噴火があったようである。屋久島の四万十累層群は花崗岩によって焼かれており微化石がよく保存されていないため、地層の姿勢と上下判定から西側上位の層序が踏襲されてきたが、これを刷新することができた。凝灰岩は精度よく年代を決定できるので、これに基づいた堆積物層序の再検討は、従来の付加体地質学の精度をより高めるであろう。