主催: 日本地球化学会年会要旨集
Mnに富んだ堆積物は、海底熱水活動の存在や古環境の酸化還元環境を評価するためによく使われてきた。北鹿地域は黒鉱鉱床の多産地域としてだけでなくMnに富んだ層が存在していることでも知られている。そのMnの起源はまだあまりわかっていないことからMnに富んだ層が黒鉱鉱床形成期後の海底熱水活動による産物かどうか考察することを研究目的とする。
小雪沢では3つの沢において地質調査を行った (ルートA、B、C)。ルートAでは貫入岩であるドレライトを見ることができた。ルート Aで見られたドレライトは赤色、もしくは赤褐色の熱水変質が見られた。このルートAにおいて、化学分析の結果、Mn に富んだ層を発見することができた (3.7 wt%、1.8 wt%)。その一方でルートAから300 m ほどしか離れていないルートBのドレライトにおいて赤色変質は見られなかった。ルートCと茂内では”R2”を熱源とした熱水活動の跡が見られた。ただし、ここではMnに富んだ層は見られなかった。