2011 年 48 巻 1 号 p. 36-38
入院中の転倒・転落により骨折や重大な外傷を生じたり,転倒への恐れから活動性の低下を招いたりすることは高齢者,特に虚弱高齢者で多く発生するため,対策が必要である.京大病院においては平成18年4月に転倒転落事故防止委員会を発足し,院内の転倒・転落事故に対する分析及び対策を行ってきた.また,院内環境・病棟対策班,データ収集・分析・アセスメントスコアシート評価班,院内広報班,事例調査班を作ることにより,転倒・転落原因の調査・分析,およびその対策を講じるとともに,患者への啓発活動を行ってきた.また,入院患者の転倒リスク評価を行い,低・中・高リスクに分類し,その実際の院内転倒・転落事故との関連を分析した.本稿においては本委員会の活動内容を示すとともに,大学病院など急性期病院における転倒予防について述べたい.