日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
後期老年者胃癌の形態学的特徴について
橋本 肇野呂 俊夫高橋 忠雄日野 恭徳平島 得路黒岩 厚二郎江崎 行芳田久保 海誉紀 健二
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1995 年 32 巻 6 号 p. 424-428

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抄録

目的, 方法: 後期老年者胃癌の形態学的特徴を検討するために, 老年者を前期, 中期, 後期に分け, 存在部位, 肉眼形態, 病理組織, 転移などを検討した. 男性の前期老年者96例, 110病巣, 中期104例, 120病巣, 後期25例, 31病巣, 女性の前期老年者51例, 55病巣, 中期91例, 106病単, 後期22例, 31病巣であった.
結果: 加齢に伴い女性で多発癌の頻度が有意に増加していた. 早期癌では加齢に伴い隆起型が増加し, 表面陥凹型が減少していたが, 女性の表面陥凹型の減少が有意な変化であった. 進行癌では隆起型は中期老年者で増加していたが, 後期では減少していた. 組織型では女性で乳頭状腺癌が増加し, 低分化腺癌, 印環細胞癌が減少していたが, 印環細胞癌の減少が有意な変化であった. 加齢に伴い腹膜転移, 肝臓転移が増加していたが, 男性の後期老年者に肝臓転移が有意に多かった.

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