2011 年 51 巻 2 号 p. 77-83
背景.筋上皮腫は乳腺や唾液腺での発生がほとんどであり,その悪性型である筋上皮癌の肺での発生の報告は極めて少ない.症例.62歳の男性.治療不応性の喘息症状に対して胸部CTを撮影したところ,右肺に腫瘤性陰影を認めた.気管支内視鏡にて右の主気管支に突出するポリープ状の腫瘤を認め,組織診にて悪性腫瘍が強く疑われ右中下葉切除が施行された.手術組織像では多彩な肉腫様の像を呈し,免疫染色で上皮マーカーおよび筋上皮マーカーが陽性であったことから筋上皮癌と診断した.結論.今回,気管支腺由来と思われる筋上皮癌の1例を経験した.