肺癌
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症例
ゲフィチニブ投与前にL858RとT790MのEGFR遺伝子変異を認めた原発性肺癌の1剖検例
徳橋 芙美子阪口 真之磯部 和順杉野 圭史羽鳥 努本間 栄
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2011 年 51 巻 2 号 p. 84-88

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抄録

背景.ゲフィチニブ投与前にEGFR耐性遺伝子変異を認めることは極めて稀である.症例.64歳,男性.血痰・背部痛を主訴に近医受診.胸部CTで右下葉の腫瘤影を指摘され当院紹介受診となった.精査の結果,右下葉原発非小細胞癌cT2aN2M1b(OSS,BRA),stage IVと診断した.気管支洗浄液のEGFR遺伝子変異の検索でエクソン21のL858Rおよびエクソン20のT790Mを認めた.PS低下のため初回治療でゲフィチニブを投与した.3週間の内服期間中は腫瘍の明らかな増大を認めなかったが,grade 3の食欲不振のため中止した.その後,初診から約3ヵ月後に癌死した.病理解剖では骨・肝・副腎に多発転移を認め,原発巣の組織型は腺扁平上皮癌であった.結論.T790Mの遺伝子変異が必ずしもEGFR-TKI投与によって獲得されるものではないことが示唆された.

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© 2011 日本肺癌学会
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