肺癌
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症例
ベバシズマブを含む化学療法により転移巣の病理学的完全奏効が得られ治癒切除が可能であったIV期肺癌の1例
張 性洙松浦 奈都美垂水 晋太郎石川 真也呉 哲彦横見瀬 裕保
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2012 年 52 巻 6 号 p. 913-918

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抄録

背景.ベバシズマブの登場により進行非扁平上皮非小細胞肺癌に対する化学療法の腫瘍縮小率は著しく向上した.症例.78歳,男性.副腎転移を有する左上葉肺癌(腺癌)cT2aN0M1b,stage IVに対してベバシズマブを含む化学療法を4コース施行した.画像上は縮小率75%のPRで腫瘍マーカーもほぼ正常化したことから,左肺上葉切除術と副腎摘出術を施行した.病理学的には原発巣には一部viableな腫瘍細胞が残存しておりEf. 2,転移巣には腫瘍細胞は認めずEf. 3であった.術後12カ月経過しているが無再発生存中である.結語.症例を選択すれば,ベバシズマブによる奏効率の改善は,これまで切除不能とされてきた進行非小細胞肺癌に対する術前治療となり得る可能性がある.

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© 2012 日本肺癌学会
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