肺癌
Online ISSN : 1348-9992
Print ISSN : 0386-9628
ISSN-L : 0386-9628
症例
原発不明肺門縦隔リンパ節癌の1例
福島 清春渋谷 仁清水 泉亀田 陽一
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2013 年 53 巻 1 号 p. 35-41

詳細
抄録

背景.原発不明肺門縦隔リンパ節癌を稀に経験するが,詳細は未だ不明な点が多い.肺癌に準じBevacizumab,Pemetrexedも併用した化学療法を行い良好な治療経過を得た,縦隔リンパ節癌の1例を報告する.症例.40歳男性.健診で胸部異常影を指摘され,胸部CTにて縦隔を主体とした多発性のリンパ節腫大を認めた.右鎖骨上リンパ節の生検では低分化腺癌であった.免疫染色ではnapsin A陽性,TTF-1陰性,CK 7陽性,CK 20陰性であった.全身検索するも明らかな原発巣は認められなかったが,免疫染色の結果より肺原発が強く示唆された.Carboplatin+Paclitaxel+Bevacizumabを3コース施行後PRとなりBevacizumabによる維持療法を行った.その後微少な脳転移が出現,ガンマナイフを施行し,Cisplatin+Pemetrexedに変更して5コース行った.治療開始後16ヶ月経過した現在も腫瘤は縮小を維持しており,原発癌の顕在化も認めていない.考察.原発不明肺門縦隔リンパ節癌の本邦報告例102例の検討を行った.男性・喫煙者・右側に圧倒的に多く発生し,予後は非常に良好であり,12例が免疫組織学的に肺癌と診断され,10例に原発巣と考えられる肺病変の出現を認めた.原発不明肺門縦隔リンパ節癌の多くはT0肺癌と捉えるのが妥当であると考えられる.

著者関連情報
© 2013 日本肺癌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top