肺癌
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症例
肺癌・直腸癌術後に生じた胸腺類基底細胞癌の1例
中野 智之石川 成美齊藤 紀子蘇原 泰則黒田 一遠藤 俊輔
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2013 年 53 巻 6 号 p. 751-754

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抄録

背景.胸腺癌は稀な腫瘍で,その中でも類基底細胞癌の頻度は少ない.症例.71歳,男性.肺癌と直腸癌術後の定期検査でCEAの上昇と前縦隔に嚢胞性病変を伴う腫瘍を認め,PET-CT検査ではこの腫瘍にのみ,SUV max 8.4の集積を認めた.診断・治療目的に胸骨正中切開による縦隔腫瘍摘出術を施行.病理組織学的に胸腺類基底細胞癌,pT2N0M0,stage II,正岡分類II期であった.術後に放射線療法を追加し,CEAは一度は正常範囲内となったが,その再上昇に伴い,術後13か月で多発性骨転移と右副腎転移が確認された.現在は骨転移への緩和放射線治療中である.結論.肺癌と直腸癌術後に発症した,胸腺類基底細胞癌の1例を報告した.先行する他臓器の悪性腫瘍があっても,孤立性の嚢胞状変化を伴う前縦隔病変では,胸腺由来の原発腫瘍を考え,診断治療に臨むべきである.

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© 2013 日本肺癌学会
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