2013 年 53 巻 6 号 p. 787-792
背景.Inflammatory myofibroblastic tumor(IMT)は,リンパ球や形質細胞などの炎症細胞の著明な浸潤を伴う,筋線維芽細胞の増殖から成る腫瘍性病変であり,その頻度は肺腫瘍の0.04~1%と稀な疾患である.症例.63歳,男性.血痰を契機に撮影した胸部CTで左S1+2に結節影を指摘され,当院紹介となった.気管支鏡検査で左B1+2bを完全閉塞するポリープ状腫瘤を認め,生検を行うも確定診断は得られなかった.Positron emission tomography(PET)では,同部位に一致してSUVmax:13.61の異常集積を認め,悪性腫瘍が否定できず胸腔鏡補助下左肺上葉切除+ND2aを行った.組織学的には,紡錘形細胞の増生と形質細胞,リンパ球浸潤を認め,免疫染色でanaplastic lymphoma kinase(ALK)陽性でありIMTと診断された.結論.PET陽性の気管支内腔病変を認めた場合,鑑別診断としてIMTも考慮する必要がある.本症例では,病理診断確定に苦慮したが,ALKの免疫染色結果が診断確定の一助となった.