高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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原著
「まわりくどい話が止まらない」脳外傷の一例
—談話障害についての考察—
山里 道彦佐藤 晋爾池嶋 千秋朝田 隆
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2006 年 26 巻 2 号 p. 200-208

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抄録

  Ponsford の提唱した「談話障害」に該当する症例を経験した。
  症例は 37 歳男性で,脳外傷慢性期に,注意障害と記憶障害,遂行機能障害がみられた。脳外傷の部位は,両側前頭前野背内側部,右側頭葉外側部および右扁桃体であった。当症例の発言の特徴は a) 話がまわりくどい,b) 場にそぐわない話題を選ぶ,c) 自分のことを一方的に延々と話し続ける,d) 聞き手の不快感を考慮しないことの 4 点であった。これに起因して,対人関係の面で支障をきたしてきたものと思われた。こうした問題は,遂行機能障害,情動の認知障害,それに言動の自制困難の要素が合わさって生じる特有の臨床像と考察された。

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© 2006 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
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