日本画像学会誌
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速報
吐出後の残インクによる高周波数域でのインク滴の飛翔速度変動
高田 恵美
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2016 年 55 巻 1 号 p. 9-12

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抄録

インクジェット印刷では,印刷の高速化や高解像度化が求められている.そのため,インク吐出周波数の高速化が必要である.一定の周波数であれば安定した吐出が得られるが,インク吐出間隔が短い場合と長い場合では飛翔速度が変わる.そして,実際の印刷では一定間隔でインクを吐出しない.そのため,インクの着弾位置が目的位置から外れることで,印刷品質が低下する.従来,吐出後に残る振動や吐出後に非定常なインク面となることが要因に挙げられてきたが,主要因はわかっていない.そこで,本速報では,吐出間隔による飛翔速度の変動要因を調べるために,吐出時のインク挙動と飛翔速度の変動との関係を分析した.まず,1ドロップの吐出では残留振動が原因で飛翔速度が上昇するが,2ドロップと3ドロップでは吐出後にノズル上に残るインクが原因で飛翔速度が低下することが分かった.つまり,ドロップ数によって飛翔速度の変動傾向と要因が異なることが分かった.今後,吐出後の残インクの引き込みを考慮したヘッド材料や駆動波形の開発,また,ドロップ数による変動傾向の違いを考慮した吐出制御の開発によって,インクジェット印刷の性能向上につなげていきたい.

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© 2016 一般社団法人 日本画像学会
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