2011 年 87 巻 2 号 p. 56-68
本研究の目的は,作業観察調査中に発生したインシデント事例の分析を通して,インシデント発生時の情報共有・伝達の特徴を明らかにし,医療安全の確保のために重要な視点を整理することである。インシデント発生時に迅速で的確な対応を可能とする情報共有・情報伝達の特徴として,1.看護師による血腫確認から初期介入における役割分担,2.リーダー看護師の迅速なアクションと指示の先読み,3.看護師間の情報伝達ルートと連携の3点が明らかになった。また,医療安全確保のために重要な視点として,A.対応手順の取り決め,B.リーダー看護師によるリーダーシップ,C.看護師間の密な連携によるスムーズな引き継ぎ,の3点が示唆された。(図1,表1)