本論文は,「移動・移乗等の際に持ち上げない」介護技術による介護作業者の負担軽減と健康障害の防止を目的として,従来から行われている移動・移乗の方法と,簡単な補助具(スライディングシートとトランスファーボード)を使用した移動・移乗の方法の2条件を比較検討した。その結果,新条件である補助具を使用した「移動・移乗等の際に持ち上げない」介護方法は客観的指標である筋活動量の測定,介護のやりやすさに関する主観評価,また,介護を受ける側(介護対象者)にも評価が高かった。これにより補助具を使用した介助・介護方法は補助具を使用しない方法と比較して,介護者と介護対象者どちらにも負担が少ない介助・介護方法であると考える。(表8,図3)