日本呼吸器外科学会雑誌
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原著
退院後1ヵ月以内に再入院が必要となった肺癌手術症例の検討
福井 高幸石黒 太志片山 達也坂倉 範昭奥田 勝裕森 正一波戸岡 俊三篠田 雅幸光冨 徹哉
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2007 年 21 巻 7 号 p. 886-890

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抄録

クリニカルパス(CP)の普及に伴い,呼吸器外科領域でも周術期管理に多くの施設でCPが使用されている.CP導入目的の一つに在院日数の短縮があるが,当施設では退院の決定は主に主治医の裁量に委ねられてきた.本研究は肺癌手術を施行し退院後30日以内に再入院が必要となった19症例に着目し,その臨床的特徴を検討した.再入院となった理由は発熱,肺炎,断端瘻・膿胸,間質性肺炎増悪など「炎症」に関連する理由が約70%を占めた.また再入院は術後在院日数に関係なく発生していた.臨床因子をマッチングして抽出した95例を対照群として入院中の白血球数とCRP値の推移を検討すると,退院直前のそれぞれの値は有意に再入院群が高いことが明らかとなった.白血球数,CRP値が高値を示す状態での退院には慎重であるべきである.

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