2009 年 51 巻 4 号 p. 331-347
零価鉄(ZVI)および砕石を充填した透過性地下水浄化壁(PRB)について、設置後約10年間にわたり地下水モニタリングを行い、長期性能を評価した。設置後2619日目(約7.2年目)に地下水中の揮発性有機塩素化合物(CVOCs)濃度の増加が下流側の観測井で観測されたため、3158日目(約8.7年目)にPRB内から採取した反応材の性能評価試験を行い、脱塩素反応速度定数および鉄粉の状態を評価した。PRB内の鉄粉は十分なCVOCs分解能力を維持しており、腐食部分の厚さも5μm未満とわずかで金属部分のほとんどが残っていることが把握され、PRBは地下水環境基準を満たす地下水中のCVOCs濃度に抑えるための機能を保持していると考えられた。