休廃止鉱山である宮崎県富高鉱山では、砒素を含む坑内水が未処理のまま河川へ排水されており、将来的な対策として中和処理が検討されている。地表踏査やボーリング調査、鉱山の既存情報から、梅ヒ断層及び二坑ヒ断層に挟まれた区域では高透水性領域が形成されていることが想定される。大王山斜面から涵養した降水は高透水性領域の不飽和部を経て地下水面に達した後、地形的に低い周囲の河川へ流動しているものと考えられる。概念モデルをベースに数値モデルを構築し、降雨と坑内水流量及び地下水位との応答再現を試みた。その結果、おおよそ実測値と整合的な計算結果が得られ、概念モデルの妥当性を示すものと評価できる。