2014 年 56 巻 3 号 p. 225-236
全水頭と流速を同時に近似するRaviart-Thomas混合補間(RT)を用いた有限要素の三次元浸透流問題における基本性能について報告する。全水頭のみを未知数とする従来の有限要素法では,流速を要素ごとに計算するため,連続な流速場が精度良く得られない場合がある。一方,RTでは,要素面上の流量を自由度として流速を近似するため,要素間境界で流量を連続にでき,解析領域全体で連続的な流速場を得ることができる。既往の研究の多くは,二次元問題での有用性を示すものであるが,本報告では,RTの数理と三次元要素の数値実験の結果を紹介し,RTの特徴を整理して,実用化に際しての適性や注意点について述べる。