2009 年 29 巻 3 号 p. 3_68-3_75
目的:本研究は,体内水分量の観点から,体内水分量に影響を与える因子について検討し,病的多飲水の一因を探ることを目的とした.
方法:精神科病院入院中の統合失調症男性患者に,生体インピーダンス法(BIS法)を用いて体内水分量を測定し,病的多飲水患者(多飲群)35名,非多飲水患者(非多飲群)23名を比較対象とした.体内水分データと体内水分量に影響を与えると考えられる因子である,血漿浸透圧,尿比重,年齢,病歴,抗精神病薬投与量,抗コリン薬投与量,口渇感,喫煙量,多飲行動の有無,水中毒のエピソードについて検討した.
結果:統合失調症患者において血漿浸透圧が上昇している者はなく,血漿浸透圧が低下しているにもかかわらず,多飲行動がみられる者が存在した.また,その他の因子について,重回帰分析を行った結果,%ICF,%TBFは,水中毒のエピソードと関連があり,エピソードをもつ者は,%ICF,%TBFが高い傾向にあった.