2002 年 22 巻 4 号 p. 21-32
精神障害者をケアする家族34名を対象に, ケア提供上の対処の特徴を明らかにすることを目的として, インタビュー調査を実施した.
データ分析には, 質的分析方法である分析的コーディングの技法を用いた. 家族の基本的な対処様式として,(1) 障害者と家族双方のニーズが満たされている共栄型,(2) 障害者のニーズを優先する一体型,(3) 家族のニーズを優先する自己保存型,(4) 障害者と家族のニーズどちらも満たされない無力型が析出された.
家族の対処様式は, 家族が障害者のニーズに共感的に応じる『家族の応答性』と, 家族が家族自身のニーズに配慮する『家族の自己配慮』という二つの軸の組み合わせで説明されると考えられ,家族と障害者双方の生活の質を保障する働きかけの必要性が示唆された.
また, 家族には『応答性』と『自己配慮』間の葛藤が潜在し, 家族は, ライフサイクル等の影響による葛藤の顕在化に伴い, 対処様式問を移動すると考えられた.