日本看護科学会誌
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精神科看護師の専門的ケア行動に影響を及ぼす組織コミットメントに関する研究
上野 恭子西川 浩昭
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2005 年 25 巻 4 号 p. 30-38

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抄録

多くの精神科看護師は, さまざまな精神科医療の問題を含んだ病院内で勤務し, さまざまな体験を認知した結果, 職場に対する気持ちを形成し, 病院組織にコミットしている. 本研究ではこの組織コミットメントが, 専門的ケア行動の決定にどのように影響しているのかを明らかにすることを目的とする. 方法は, 関東以西の13カ所の精神科病院に所属する看護師1, 313名を対象に4種類の測定尺度と属性に関する質問票の合計95項目で測定した. データは共分散構造分析を用いて分析した. その結果, 精神科看護師は, 病院組織への愛着の感情を主体とする情動的コミットメントが強いほど患者に対して専門的なケア行動を実施し, 功利的意味合いの強い継続的コミットメントが強いと専門的ケア行動を抑制することが確認された. さらに, 情動的コミットメントの先行因子である職務満足度には職場内の人間関係のよさ, 患者家族との関係の維持, さらに勤務経験の長さが重要な要因になっていた.

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