経時データにおける回帰モデルにおいて,時間tとともに変化する共変量の効果β(t)は変化係数とよばれている.変化係数の推定は,カーネル平滑化の要領で,固定した時点周辺の近傍データに対して局所的な回帰を繰り返すことで推定され,その信頼区間も固定した各点毎に構築されるのが一般的であった.近年,Satoh and Yanagihara (2010) は,変化係数の関数形を線形に限定することで,t ∈ R での同時信頼区間を提案した.本稿では,信頼区間を構築する領域を観測時点の範囲といった有限区間t ∈ [a, b] に限定することで,より精密な同時信頼区間の構築法を提案する.