日本気管食道科学会会報
Online ISSN : 1880-6848
Print ISSN : 0029-0645
ISSN-L : 0029-0645
原著
喉頭・下咽頭扁平上皮癌に対する化学療法同時併用放射線治療により温存された喉頭機能の評価
田口 享秀佃 守長尾 淳一近藤 律男佐久間 直子新居 葉子荒井 康裕トート ガーボル西村 剛志堀内 長一松田 秀樹生井 友紀子森信 智子堀口 利之廣瀬 肇
著者情報
ジャーナル 認証あり

2010 年 61 巻 6 号 p. 483-492

詳細
抄録

喉頭・下咽頭癌症例に対するconcurrent chemoradiotherapy (CCRT) により温存された喉頭の機能評価を行った。1998年10月から2003年9月までの期間に切除可能な喉頭・下咽頭扁平上皮癌病期II~IV期で一次治療としてCCRTを施行した32症例を対象とした。この32例中,すべての調査・検査に参加可能であったのは20例であった。喉頭機能の評価方法としては,アンケート調査,GRBAS尺度,最長発声持続時間,声域・話声位の測定,嚥下機能評価基準の栄養摂取方法,および気管切開孔の有無に関して検討した。喉頭・下咽頭癌のCCRT後は,大多数の症例で種々の程度の嗄声が認められ,また声域が狭まる症例があるが最長発声持続時間は75%の症例で正常範囲内であった。一方,1例を除くすべての症例 (97%) で,誤嚥性肺炎の既往なく経口摂取が可能となっていた。喉頭癌症例中2例で気管切開孔が閉鎖できなかったが,大多数の症例で喉頭の呼吸機能は温存されていると考えられた。

著者関連情報
© 2010 特定非営利活動法人 日本気管食道科学会
次の記事
feedback
Top