日本醸造協会誌
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104 巻, 4 号
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解説
研究
  • 山口 貴之, 齋藤 高弘, 岡本 竹己, 佐々木 隆浩, 杉江 正美, 〓原 昌司, 志賀 徹
    2009 年 104 巻 4 号 p. 303-311
    発行日: 2009年
    公開日: 2016/01/20
    ジャーナル フリー
    化学発光法による清酒の品質評価手法の開発を目的に,清酒の品質変化と密接な関係を持つ熟度・抗酸化能を計測できるか検討した。その結果,
    1. 清酒の発光は,汎用的な携帯型の微弱発光計数装置で充分捉えられるものであり,X発光を除きその発光曲線は安定していた。
    2. Y発光とMPECは清酒の主要成分の影響を受けなかった。一方,NaClO発光はpHの,RCはアルコール濃度の影響を受けることが判明し,製造履歴の異なる清酒を評価するには成分の把握と補正が必要であることが分かった。
    3. NaCIO発光は,pH補正をすることで発光指標の適合性が高まり,成分の異なる清酒でもTrolox換算値と高い相関を示した。
    4. Y発光とMPECは没食子酸とタンニン酸に反応し,RCはそれに加えてフェルラ酸と反応した。
    5. 清酒への利用適性を検討した結果,NaClO発光(熟度指標)とMPEC(抗酸化指標)が,化学指標との相関が高く発光も安定しているため,清酒の品質評価手法として有効であると判断された。
    6. NaClO発光とMPECの測定方法は簡便・迅速であり,発光検出時間も1分以内と短時間で済むことから,既存の手法に比べて製造工程での利用性が高いと考えられた。
  • 谷本 昌太, 松本 英之, 藤井 一嘉, 大土井 律之, 山根 雄一, 若林 三郎
    2009 年 104 巻 4 号 p. 312-319
    発行日: 2009年
    公開日: 2016/01/20
    ジャーナル フリー
    1. カプロン酸高生成酵母と発酵力の高い酵母の混合醸造を行い,もろみにおける両酵母菌数および諸成分の経日変化を比較した。
    2. 広島吟醸酵母は,KA-4と比べてもろみ中での酵母菌数が少なかった。全酵母菌数に対する広島吟醸酵母の菌数の比率は,もろみ初期から減少し,もろみ中期に約10-60%に減少した。
    3. 広島吟醸酵母の添加比率が増すにつれてもろみ中のアルコール濃度および酸度が低くなり,ボーメの切れは緩慢となった。
    4. もろみ中の香気成分については,広島吟醸酵母の添加比率が増すことにより,もろみ期間を通じてカプロン酸エチルおよびカプロン酸は高く,酢酸エチル,酢酸イソアミルは低くなった。一方,有機酸については,リンゴ酸およびコハク酸が低下した。
    5. 広島吟醸酵母とKA-4を混合醸造することで,もろみの発酵力を改善するとともに,酒質を変化させることが可能であった。また,もろみ中のカプロン酸エチル濃度の違いは,広島吟醸酵母の酵母菌数に応じて生成されたカプロン酸が広島吟醸酵母およびKA-4によりエステル化を受けているためと推察された。
    尚,本研究の一部は,平成16年度日本醸造学会大会において発表した。
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