日本大腸肛門病学会雑誌
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原著
早期大腸癌の内視鏡切除後のサーベイランス法-目標と危険因子-
豊永 敬之西野 晴夫完山 裕基畠山 知昭土屋 博辺見 英之森岡 香中条 徹朗高橋 敬二福島 恒男松島 誠壬生 隆一荒木 靖三
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2009 年 62 巻 6 号 p. 389-395

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抄録

早期大腸癌の内視鏡的治療後の至適サーベイランス方法を検討した.1998∼2001年に早期大腸癌に対し内視鏡的切除を行い,その後2回以上のTCSを行った640症例(M癌622例,SM癌18例)を対象とした.局所再発は初回治療後3∼38カ月に17症例(2.8%)で認めた.すべて内視鏡的追加切除にて治癒した.サーベイランスTCSにて28症例(4.4%)に35病変の大腸癌が発見された.高齢群(60歳以上)と大腸腺腫の合併の二因子が新たな大腸癌の独立した危険因子であった.semi-clean colon達成前の大腸癌の累積発見率が2%を越えるのは初回治療後13カ月で,達成後ではsemi-clean colon化の31カ月後であった.早期大腸癌の内視鏡治療後は,新たな大腸癌発生の高危険群である.新たな大腸癌の早期発見,早期治療のためには,semi-clean colonを目標とした計画的かつ長期的なサーベイランスが必要である.その際,幾つかの危険因子の設定が必要である.

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© 2009 日本大腸肛門病学会

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