2014 年 20 巻 2 号 p. 98-101
左室自由壁破裂(LVFWR)は心筋梗塞(AMI)後の重篤な合併症であり,予後は悪いとされている.今回,当院でのLVFWR症例の手術成績と,リスク因子を検討した.1996年1月から2012年8月までに,LVFWRと診断し,緊急手術を施行した12例(男性9例,女性3例)を対象に検討を行った.破裂型は,oozing型が7例,blow-out型が5例であった.手術はoozing型に対してsutureless法を,blow-out型に対して直接縫合閉鎖を施行した.手術死亡は4例であり,oozing型で1例,blow-out型で3例であった.Blow-out型で救命できた症例では,死亡症例より有意に手術時間が短かった.Oozing型症例におけるsutureless法は有用であると考えられた.また,blow-out型症例に対しては,手術は止血を優先し,可及的短時間で手術を終えることが肝要と考えられた.