日本作物学会紀事
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研究・技術ノート
茨城県稲敷市の大区画水田でみられた2007年産コムギにおける圃場内の生育ムラと土壌の凹凸及び土壌水分との関係
-湿害の発生様相-
小柳 敦史
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キーワード: 小麦, 湿害, 耐湿性, 転換畑
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2008 年 77 巻 4 号 p. 511-515

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抄録

茨城県では2006年の11月19~20日及び12月26~27日に100 mm 前後の降雨が記録され,コムギで出芽不良がみられた. そこで, コムギ農林61号に出芽不良と生育ムラが観察された茨城県稲敷市の1.4 ha の大区画水田で調査を行った. 2007年1月14日に圃場内に10 m 間隔で格子状に80箇所の調査地点を設け, コムギの出芽密度, 標高及び土壌水分を測定した. その結果, 土面が低い場所で土壌水分が高く, 出芽不良となっていたことが確認できた. また, 出芽不良部分を除く73箇所の調査地点で登熟期に土壌水分と草丈及び子実収量を調べた結果, 土壌水分と草丈に負の相関関係, 草丈と収量に正の相関関係がみられた. このことから, この圃場では出芽期だけでなく, それ以降も圃場内の土壌水分が高くなりやすい地点でコムギの生育が劣っていたことが分かった. なお, 圃場内の地点ごとの土壌水分の相対的な関係は, 生育期間を通して安定していた.

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© 2008 日本作物学会
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