北海道東部,オホーツク地域の中核都市である北見市の中心住宅地となっている火山灰台地を対象として,新旧の地形図の比較判読や撮影年の異なる空中写真の立体視判読による地形および土地利用の移り変わりから埋立地盤の存在を把握し,そして独自に構築している地盤情報データベースを活用してそれら埋立地盤の性状を検討した。今日では平坦な地形面を呈し,住宅密集地となっている対象地域には1970年代前半から急速に進展した沢や湿地の埋立によって造成された地盤が内在し,そのような埋立地盤はN値および地下水位の状況からみて非常に脆弱な状態にあることが明らかとなった。このような地盤性状の場は全国の都市域,とくに丘陵~台地の住宅地域に潜在していることは容易に推定でき,さまざまな地盤問題の要因となり得る。地盤の成り立ちを把握し,地震時だけでなく日常の中でも脆弱な地盤性状に起因した上水道,下水道や都市ガスといった地下埋設ライフラインの劣化・損壊が起こり得ることを想定した対策が望まれる。