心身健康科学
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7 巻, 1 号
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特別講演
第11回日本心身健康科学会学術集会 シンポジウム
原著論文
  • 村木 久美江, 大東 俊一, 青木 清
    2011 年 7 巻 1 号 p. 26-33
    発行日: 2011/02/10
    公開日: 2011/05/10
    ジャーナル フリー
    心身ともに健康な国民の育成を目指している小・中学校教育において,子どもが性に関して系統的かつ多面的・総合的に学習できるのは性教育である.子どもの性は,心や身体との関わりだけでなく,社会や文化的な面でも深く関わり,心身健康科学として探求すべき課題の1つである.本研究は,子どもの発達と関係する小・中学校の採択上位の教科用図書(保健・保健体育科,理科,社会科,家庭科)及び,道徳「心のノート」(文部科学省)における性に関する事項について,生物学,生理学,心理学,社会学の4分野の観点から分析しその結果を考察することにより,学校における教科としての性教育の充実を図ることを目的とした.教科用図書全般から性教育において重要な性に関する用語を抽出し,学習内容について小・中学校の学年ごとに分析しマトリックスを作成した.マトリックスは縦軸を学年ごとに学習する教科とした.それにより,子どもの発達段階に即しているか否かを明らかにすることができる.横軸は文部科学省が示す性教育の3項目の指導内容(自己の性を確かにするための内容,人間関係構築に必要な内容,家族や社会の一員としてのあり方に関する内容)とした.それら3項目の指導内容を,4分野の観点で分類した.その結果,小学校の5年生と6年生の保健の教科用図書には,性に関する記述が全くなかった.中学校1年生と3年生の保健体育の教科用図書には,性に関する生理的な発達と性感染症に関する記述があった.2年生の教科用図書には性に関する記述が全くなかった.それによって,心身健康科学の視点からみた性教育を実現するための,改善すべき課題を提案することができた.これにより,教科用図書記述に関して,小・中学校での子どもの心身健康の向上にとって必要不可欠と考えられる事項について,学年別及び指導内容別に新たな課題を提示した.
  • 大勝 孝雄, 久住 武, 新井 康允, 新原 正文, 大勝 洋祐
    2011 年 7 巻 1 号 p. 34-48
    発行日: 2011/02/10
    公開日: 2011/05/10
    ジャーナル フリー
    機能的磁気共鳴画像(fMRI)は,脳の局所神経活動変化を非侵襲的に捉える脳機能イメージング法であり,疼痛脳内機構に関する様々な知見をもたらしている.疼痛脳内機構は,侵害刺激のみならず,痛みのイメージなど感情面に関する要素でも活性化されることが報告されている.本研究では,鍼刺激・プラスチック管刺激の定量評価を非疼痛(健常)者と慢性疼痛患者に対しfMRIで実施し,興味ある脳機能賦活部位を確認した.非疼痛(健常)者12例と慢性疼痛患者6例(疼痛群)に対して右側手背側の母指と示指中間の皮膚のポイントに,徒手による鍼刺激およびプラスチック管刺激を行い,fMRI-BOLD法で調べた.鍼刺激による2群間のBOLD信号変化量の比較をすると,疼痛群が非疼痛(健常)群に比べ有意に高値であった.2群間の脳賦活部位の比較では,疼痛群では両側中前頭回,右側下前頭回,左側中心後回,両側下頭頂小葉,右側縁上回,右側上側頭回,右側中側頭回,左側前帯状回,両側小脳,左側島皮質,大脳基底核(両側レンズ核,左側尾状核),左側側脳室で賦活が有意に認められ,非疼痛(健常)群では右側縁上回,左側角回,左側小脳で賦活が有意に認められた.プラスチック管刺激については,非疼痛(健常)群で3例について行い,3例全てで無反応であった.一方,疼痛群は2例についてプラスチック管刺激を行ったが脳賦活部位が広範囲に認められ,しかも反応は高かった.非疼痛(健常)群ではプラスチック管刺激をしてもBOLD信号がほとんど認められず,効果がなかったと考えられるので,疼痛群でも非疼痛(健常)群同様,プラスチック管刺激は効果がないとすると,プラスチック管刺激の場合の脳賦活画像は疼痛のみによる脳賦活反応と考えられる.したがって,鍼刺激が疼痛関連メカニズムの賦活パターンをどれ位変化させるかが鍼刺激の効果を考える上で問題となる.
  • —性格類型との関連から—
    中川 仁, 青木 清, 大東 俊一
    2011 年 7 巻 1 号 p. 49-59
    発行日: 2011/02/10
    公開日: 2011/05/10
    ジャーナル フリー
    養成過程にある理学療法士の心身ストレスを性格類型との関連から明らかにすることを目的として,理学療法士養成校の学生84名と新人理学療法士102名に対し,ストレスについてアンケート調査とYG性格検査を行った.このアンケート結果を因子分析して,ストレス因子を抽出した.重み付けした因子得点を従属変数として,臨床経験の有無およびYG性格類型を独立変数として分散分析を行った.その結果,4つのストレス因子が抽出された.気分の変調因子は臨床経験と性格類型のそれぞれに,対人関係因子は性格類型についてのみ主効果が見られた.また,将来の見通し因子は交互作用がみられたが,食欲不振因子は関連がみられなかった.これらのことより,新人理学療法士のB·C類では気分の変調に陥りやすいことが考えられた.また,E類以外の新人理学療法士は将来についての葛藤に悩まされる可能性があることが示唆された.なお,対人関係は性格による違いはなく,食欲不振は誰にでも生じ得るストレスであることが明らかになった.
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