腸内細菌学雑誌
Online ISSN : 1349-8363
Print ISSN : 1343-0882
ISSN-L : 1343-0882
総説
腸管上皮細胞と腸内細菌とのクロストーク
高橋 恭子
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 25 巻 4 号 p. 213-219

詳細
抄録

腸管には莫大な数の腸内細菌が生息し,また,生体最大の免疫系が存在する.腸内細菌は生体にとって異物でありながら腸管免疫系により排除されてしまうことなく,“共生”している.腸管の広大な粘膜面は単層の上皮細胞で覆われていることから,これらの腸管上皮細胞は,腸内細菌,食品,病原菌など腸管管腔からの様々な抗原刺激を最前線で受け取る細胞であると言える.腸管上皮細胞は,管腔の様々な抗原情報を粘膜固有層に存在する免疫細胞へと橋渡しをし,腸管における免疫応答の誘導,方向づけに重要な役割を果たす.本稿では腸内細菌と腸管上皮細胞の相互作用を取り上げ,両者のクロストークの基盤として腸管上皮細胞における菌体認識分子の発現及び機能の制御,そして腸内細菌と腸管上皮細胞のクロストークによる上皮バリア機能及び免疫応答の制御について概説した.

著者関連情報
© 2011 (公財)日本ビフィズス菌センター
次の記事
feedback
Top