日本救急医学会雑誌
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症例報告
妊娠中に特発性脊髄硬膜外・硬膜下血腫を同時発症した1例
田中 潤一喜多村 泰輔梅村 武寛村井 映杉村 朋子大田 大樹石倉 宏恭
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キーワード: 妊婦, 不全麻痺, 帝王切開
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2010 年 21 巻 10 号 p. 849-854

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抄録

基礎疾患を有しない妊婦における特発性脊髄硬膜外血腫および硬膜下血腫は極めて稀であり,その発症原因は未だ明らかにされていない。我々は特発性硬膜外血腫と硬膜下血腫を同時発症した妊婦症例を経験したので報告する。症例は31歳の女性,妊娠28週。両側腰背部痛,両下肢不全麻痺を主訴に当センター搬送となった。magnetic resonance imaging(MRI)を施行したところ,第4-6胸椎の硬膜下血腫および第7-8胸椎に硬膜外血腫の所見が認められた。このため緊急帝王切開による胎児娩出の後,緊急胸髄後方除圧術を施行した。術後経過は良好で現在は完全社会復帰をはたしている。脊髄硬膜外・硬膜下血腫は稀な疾患である。とくに妊婦においては,診断治療の他に出産も関わってくるため,麻酔科や産婦人科との横断的な連携が重要である。

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© 2010 日本救急医学会
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