日本応用動物昆虫学会誌
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ワタアブラムシの薬剤抵抗性に関する研究
第4報 各クローン系統の各種薬剤に対する感受性
浜 弘司安藤 幸夫細田 昭男鈴木 健高木 豊
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1995 年 39 巻 2 号 p. 117-125

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抄録

ワタアブラムシの有機リン剤抵抗性の指標であるアリエステラーゼ活性を目安に,クローン化した4系統を用い,各種薬剤に対する感受性を虫体浸漬法により検定し,本種の有機リン剤とカーバメート剤に対する抵抗性の特徴を明らかにした。
1) 供試虫を薬液に浸漬し,浸漬に使用した容器から新しい容器に移した区(移し替え区)のLC50値は,浸漬に使用した容器にそのまま保持した区(標準区)のLC50値より数倍から10倍以上大きかった。しかし,各薬剤間の感受性は2試験法で平行した。
2) 感受性Sクローンの有機リン剤に対する感受性は薬剤間で異なったが,chlorpyrifos-methyl (Reldan®), phosalone (Rubitox®), profenofos (Encedan®)に対してとくに高かった。
3) 抵抗性クローンの有機リン剤に対する抵抗性比は数倍から数十倍であったが,とくにthiometon (Ekatin®), oxydeprofos (ESP), phosalone (Encedan®)に対する抵抗性比は高かった。
4) Chlorpyrifos-methyl (Reldan®), profenofos (Encedan®)の殺虫活性は抵抗性クローンに対し高かったが,これらの有機リン剤に対しても数倍から数10倍の抵抗性を示した。
5) 有機リン剤抵抗性クローンのカーバメート剤感受性は,薬剤によって大きく異なり,ethiofencarb, pirimicarbに対し高度の抵抗性を示したが,carbaryl (NAC)やmethomylに対する抵抗性は低かった。なお,ピレスロイド剤に対する感受性は高かった。
6) 有機リン剤抵抗性クローンに対して,有機リン剤とカーバメート剤のある組み合わせで混合した場合に協力作用が確認された。

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