教育心理学研究
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不登校状態に有効な教師による支援方法
山本 漿
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2007 年 55 巻 1 号 p. 60-71

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抄録

この研究では, 小中高等学校教師290名を対象に質問紙を用いて調査を行い, 不登校児童生徒の各状態に有効な支援方法について検討を行った。まず, 不登校状態をとらえる観点として因子分析を用いて「自己主張」「行動・生活」「強迫傾向」「身体症状」の4つを抽出し, 測定尺度を作成した。これを用いて児童生徒の状態を査定するとともに, 当該児童生徒に対する支援方法の効果を評価し, その関係をカイ二乗検定を用いて検討した。これにより次の支援方法が有効であることがわかった。(1)「自己主張」ができない場合: 学習指導・生活指導を行うとともに, 家族を支えること。(2)「行動・生活」に乱れが見られる場合: 関係を保つことに注意しながら, 生活指導を行い登校を促すこと。(3)「強迫傾向」が強い場合: 校内の援助体制を整え別室登校をさせるとともに, 家族を支え校外の専門機関との連携を図ること。(4)「身体症状」が重い場合: 児童生徒の気持ちを支えるとともに, 保健室登校をさせるなど校内の援助体制を整えること。

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© 日本教育心理学会
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