日本教育工学会論文誌
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教育実践研究論文
個別支援の実践体験を取り入れた教員養成課程の授業実践
深谷 達史植阪 友理
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2017 年 41 巻 2 号 p. 157-168

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抄録

教員養成課程では,実践的指導力の基礎を養うことが目指されている.認知心理学的な視点を活かした個別的な面接によって学習のつまずきを診断し学習者としての自立を支援する認知カウンセリングを教職課程で学び体験することは,実践的指導力の向上に資すると考えられる.そこで,本研究は,教育方法学の授業において,学生に認知心理学の基本概念や認知カウンセリングの進め方を教授した上で,認知カウンセリングの発想に基づく個別支援を体験させる中間レポート課題を課した.さらに,代表の学生のレポートをもとにした事後協議を行った上で,学生に自らのレポートのふり返りを求めた.効果検証として行った仮想相談課題では,算数の具体的なつまずきを示し児童にどう関わるかの自由記述を求めた.分析の結果,「診断的働きかけ」,「意味理解を重視した教師の説明」,「子どもへの理解確認」,「学習方略の意識化を促す指導」という4つの観点のうち,事前よりも事後の方が「意味理解を重視した教師の説明」を除く3つの観点の記述が多かったことが明らかとなった.

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© 2017 日本教育工学会
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