2004 年 30 巻 3 号 p. 413-418
頭頸部がんに対する放射線治療効果を高める方法として, 放射線治療自体の工夫とともに化学療法の併用がある。化学療法の併用にあたり, 投与経路, 抗癌剤の種類/投与量, 投与時期 (タイミング) 等様々な問題がある。投与タイミングについては, 多くの無作為割付臨床試験の結果から, 導入化学療法の意義は否定され同時化学放射線療法が有用であることが明らかにされた。また, 多分割照射を用いた同時化学放射線療法による有望な結果も示されつつある。一方, 治療強度の増強とともに粘膜炎等の急性毒性は増強する。この点において交替療法は有望な可能性がある。今後最適な併用タイミングを明らかにするために, わが国独自の質の高い臨床試験を行なう必要がある。