頭頸部癌治療において放射線治療の果たす役割は非常に大きく,その治療成績向上は今後も重要である。その中で化学放射線療法や多分割照射法などの有効性は,多くの臨床試験やメタアナリシスで放射線単独や通常分割放射線治療に比較して生存率向上に寄与することが証明されている。更なる治療成績向上を目指して両者を併用する試みもなされている。しかし,併用する治療間の相互作用を十分理解しないまま不適切に併用すると,急性反応の増強などで治療のコンプライアンスを低下させることにつながり,治療成績を低下させる可能性もある。頭頸部癌に対する多分割照射法を含むAltered Fractionationと化学療法の併用は治療成績向上の可能性を秘めたアプローチではあるものの,現時点ではまだその至適な併用は確立しているとは言えない。今後も臨床試験などを通じた臨床データの蓄積が期待される。