音声言語医学
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発達性dyslexia例における擬漢字を用いた作業記憶遂行中の大脳賦活部位に関する研究
片野 晶子宇野 彰守口 善也佐藤 典子
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2009 年 50 巻 3 号 p. 190-197

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抄録

本研究では, 学習到達度検査や認知検査によって診断・評価された発達性dyslexia例4名を対象とし, 擬漢字を用いた作業記憶課題遂行中の大脳賦活部位をfMRIを用いて明らかにすることを目的とした. その結果, 健常群に比べ発達性dyslexia群の大脳において賦活量の低下が有意に認められた部位のうち先行研究で言及されている関連領域は前頭前野と左側頭‐頭頂領域, 左下側頭回から紡錘状回にかけての領域であった. 本研究の結果, 日本語話者の発達性dyslexia例においても少なくとも左側頭‐頭頂領域と左下側頭回から紡錘状回領域での脳賦活量の低下が認められたことから, この部位に関しては, アルファベットや漢字という使用される言語の種類にかかわりなく, 発達性dyslexia例と大脳機能低下部位とが何らかの関連があると考えられた.

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© 2009 日本音声言語医学会
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