音声言語医学
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原著
声帯嚢胞の臨床的検討
─類表皮嚢胞と貯留嚢胞の比較を中心に─
楠山 敏行池田 俊也森 有子宮本 真佐藤 剛史浅香 明日美中川 秀樹田村 悦代新美 成二福田 宏之
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2010 年 51 巻 4 号 p. 311-317

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抄録

目的;声帯嚢胞症例においていまだ十分な検討がなされていない組織型による臨床像の比較を中心に統計学的検討を行った.対象;2001年1月から2005年12月までの5年間に東京ボイスセンター(以下当センター)を受診した声帯嚢胞症例108例(男性53例,女性55例)である.方法;性,年齢,声の職業性,治療成績などについて統計学的に検討した.また,組織型による臨床像の比較を統計学的に検討し,自験例の声帯結節と声帯ポリープとの相違と比較した.結果;1.喉頭微細手術の7.4%に認めた.2.声の職業性を49%に,さらに音声酷使を加えた群を64%に認めた.3.手術治療により96%に良好な結果を得た.4.類表皮嚢胞と貯留嚢胞の比較では性,年齢,声の職業性,音声酷使,内視鏡所見などに有意性を認め,声帯結節と声帯ポリープとの比較における有意性と類似した.結論;類表皮嚢胞と貯留嚢胞は有意に異なる臨床像を呈し,これらの相違は声帯結節と声帯ポリープの臨床像の相違と類似した.

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© 2010 日本音声言語医学会
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