音声言語医学
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原著
有色透明フィルムが発達性読み書き障害児の音読速度に与える影響
後藤 多可志宇野 彰春原 則子金子 真人粟屋 徳子狐塚 順子柴田 圭介
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2011 年 52 巻 2 号 p. 173-182

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抄録

本研究では, 日本語話者の発達性読み書き障害児に音読課題を実施し, 有色透明フィルムの色の要因が音読速度に与える影響を検討した. 対象は発達性読み書き障害児21名と典型発達児18名である. 刺激はひらがなの単語と非語, カタカナの単語と非語および文章である. 音読課題はフィルム不使用条件, 無色透明フィルム使用条件および有色透明フィルム使用条件の3条件で実施し, 音読所要時間を計測した. 本研究では, 照度, 対象児と刺激間の距離, 刺激の単語属性, 教示方法, 順序効果およびプラシーボ効果に関して実験条件を統制した. その結果, 発達性読み書き障害児群と典型発達児群の音読所要時間は, 5種類の音読課題のいずれにおいても, 3条件間で有意差は認められなかった. 有色透明フィルム使用による紙面の色の変化は, 音読速度に影響を与えないのではないかと考えられた.

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© 2011 日本音声言語医学会
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