吃音とクラッタリングを鑑別するためのチェックリストを作成する目的で,欧米で使用されているDaly1)のチェックリストを邦訳し,一部改編したものを,学齢期の吃音を主訴とする児童208名に実施した.クラッタリングに該当したのは33名(15.9%)で,Daly1-3)の報告とほぼ同様な結果を示した.また,チェックリストの下位33項目について,クラッタリング群と吃音群の2群で比較した結果,31項目で有意な差を認めた.さらに,クラッタリングを規定する因子として,因子分析の結果から「言語能力・発話運動コントロールの問題」「注意欠陥・多動性」「発話速度の速さ」の3因子が想定された.以上の結果より,本チェックリストからクラッタリングの検出が可能であることが示唆された.事例検討の結果も妥当性を支持した.
今後は,本研究の結果,修正したチェックリスト(試案)の実施やクラッタリングに該当した者への治療介入と効果の検討を積み重ねることで,項目の妥当性や鑑別の精度について検討したいと考える.